大判例

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東京地方裁判所 昭和32年(ワ)14号 判決

東京都民銀行

被告等は、本件手形は、手形上の請求はしないが、単に原告会社の経理の都合上形式的に預るものであるとの原告との特約に基き作成交付されたいわゆる預り手形であつて、その趣旨のもとに支払期日を空白にしたものであるから約束手形として成立せず、原告に白地補充権はないと主張する。しかしながら、約束手形の支払期日の部分を空白のまま相手方に交付したときは、特段の事情のないかぎり、後日手形所持人をして任意に支払期日の記載を補充させる意思を以て白地振出をしたものと推定するのが相当であり、本件においては何ら特段の事情も認められないから、結局原告に白地補充権が与えられたものと認めるのが相当である。

次に、本件手形の支払地は、単に「東京都」とのみ記載され、「中央区」の文字は原告が記入したものであることは当事者間に争いがないのであるが、株式会社東京都民銀行本店が支払場所と定められている以上、仮りに支払地の行政区の記載がなくとも、支払地は支払場所の所在する行政区であると認められるから、約束手形として有効に成立する。原告はこれを補正するために「中央区」と記入したのに過ぎないのであるから正当な補充権の行使である。

よつて原告主張の約束手形は、白地補充権を伴う有効な約束手形として原告宛に振り出されたものと認めざるを得ないから、原告の被告に対する手形金請求は正当であるとしてこれを認容した。

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